JCD組の前走を考える

今日は気合を入れてJCダート組の前走を検証していきたいと思います。



JBCクラシック 名古屋 D1900 G1

この組からの出走馬はタイムパラドックスユートピアサカラートパーソナルラッシュシーキングザダイヤの計5頭。これは検証し甲斐がありそうな頭数と面子ですね。



始めに大まかな展開を見ていきます。

やはり名古屋開催という事もあり、殆どの馬が前目に取り付けようとしました。

1〜2コーナーでユートピアシーキングザダイヤナイキアディライトサカラートレイナワルツの主導権争い。そこで主導権を取れたのはユートピアシーキングザダイヤは苛烈に競るも負け、サカラートは何が何でも主導権を取ろうという感じでは無かった。ユートピアが主導権を取った後は一旦流れは落ち着く。

タイムパラドックスが前目の絶好位に位置取れた。力がある馬は前へ、地方の力が無い物は後ろへという位置取りで完全に悲しい構図になった。また3〜4コーナーで奇襲に出たレイナワルツ、ここがこのレースの最大のキーポイントだと思う。あれで最後にレイナワルツが垂れたらタイムパラドックスに流れが向くのは必定というか自然の摂理。あのレイナワルツの奇襲作戦をどう取るかでこのレースの見方は大きく変わっていくと思う。さて1頭ずつ見ていく。



1着タイムパラドックス武豊

スタート後、常に前での主導権争いを一歩下がった位置で見られた。

そして何より地方が後ろ・中央が前という極端な道中構図になったのがこの馬が絶好位で競馬できる要因になったと思う。スタート直後はやはり少し中央の有力馬から遅れた位置取りだったが、ユートピアが主導権を取った後のペースダウンに乗じて徐々に前に進出。そして4コーナーでのレイナワルツの内からの早目仕掛けを誰よりも早く察知した武豊が強引に外からそれに付いていこうと仕掛けた。ここが最大のポイント。レースを見ると豊のみレイナの奇襲をワンテンポ早く察知していたと思う。だから最後に競り落とせた。レース全体を振り返ると、ほとほとタイムパラドックスに向いたとしか言いようがない。道中のペースダウンと道中で前が競るスタミナ勝負、そしてレイナの奇襲によって更になし崩し的に前が脚を使わされた。こうなればタイムパラドックの出番だった。JCDの馬柱を考えるとまずこの位置取りは不可能。ただ海外馬の出走、そしてアジュディミツオーユートピア・シーキングザイダヤ・サンライズバッカスと今回も前がなし崩し的に脚を使わされるだろうから、そういう意味でこの時のようにスタミナ勝負になればやはり強い。道中の位置取りは期待できないが、本番に繋がる競馬だったと思う。



2着ユートピア(安藤克己)

1枠1番という絶好の枠順を生かしてスタート後に主導権を取れた。ただ1000M付近で積極的にサカラート・ナイキが絡んで来た為、無理せず主導権を譲る。内からスルッと下がり、気付けば有力馬の中で後方の位置にいた。ここは安勝の判断なのだろうが、結果的にここで引いたのが最後の2着を勝ち取れた・・・但し逆に言えばここで引いた事が勝ちを逃した最大の要因だったと思う。それはやはりレイナワルツの奇襲であって、ユートピアの様に一瞬の切れで勝負するタイプではない馬にとって、あの瞬間にあの位置取りは勝ちを狙うという点では致命的。タイムパラドックスが外から強引に仕掛けようとした時に、そのタイムよりも後ろいて、且つ前が壁になった為仕掛けがワンテンポ遅れた。2着という点では安勝はいい競馬をしたのだろうが、1着という点で言えば褒められた内容では無かった。ただあそこでナイキと競っていても多分脚を使わされただけで、そういう意味で結果的に引いたのは正解。ただユートピアにとって最高に狙えた着順が2着だったという事。本番に繋がる走りにはとても思えない。



4着サカラート秋山真一郎

スタート後常に積極的に前に位置取ろうとした。2〜3コーナーでペースが落ち着いた事もあり、外から更に前を狙う。ストレスに弱いこの馬にとって外から難なく進出出来たのは願ってもない感じだったし、手応えは常に抜群だった。ただ更にペースが落ち着いた事もあり、タイムパラドックス辺りが前に進出してきた。結果サカラートの外に2〜3頭が並ぶ形になった。ここで一段階手応えが悪くなる。

そこに追い討ちをかけるようにレイナワルツが奇襲をかけた為、タイムパラドックスの早め仕掛けを招く結果になり、外から3〜4コーナーでタイムにずっと被せられたのが良くなかった。勝ち馬のタイムとほぼ同位置でスパートしたにも関わらず、直線早々置いていかれ更には内からユートピアにも差される内容となった。やはりこの馬の競馬を見ると根性がない。本番ではデットーリ騎乗という事もあり、馬の能力がプラスに働くのだろうが、それを加味しても疑問符がつく。このレースのように本番では出し入れが激しくなるだろうし、枠順を考えれば今日のように2〜3コーナーで難なく進出できる事は期待しにくい。しかもアジュディミツオーサンライズバッカスの存在を考えれば、そう易々と進出は出来ないはず。このレースを見る限りでは本番では手を出しにくい。



5着パーソナルラッシュ藤田伸二

まず率直な感想・・・この馬はこのレース完全にやる気が無かったという事。スタート直後に地方馬にも置いていかれ、出ムチを数発入れて追い通し。これで若干やる気になったのと、ペースが落ち着いた事もあり、自力だけで前に追いつく。それでも機嫌を損ねると手応えが悪くなるこの馬にとってこれだけ直線に入る手前にストレスが蓄積されれば、伸びるはずがない。元々早め仕掛けで他馬を突き放す競馬を得意とするこの馬にとって道中の位置取りを考えても何もかもが揃わなかった感がある。ただこのレースで収穫を得られたのは藤田がパーソナルラッシュの特質を掴んでいる事を再確認出来た事。前に追いついた時に内に入らず手応え悪くとも外に進路を取った。この馬は外からサッと交わす競馬でないと力を発揮できない。フェブラリーS時のような競馬では万に一も走る気を起こしてくれない。そういう意味で藤田がそういう競馬をしたのは大きい。それとこの小回りのコースであれだけ大外を回った時点で無理、コーナー直後は6着のシーキングザダイヤはおろか、地方馬数頭に交わされた。それでも最後は後ろで映像を見ていない方も多いと思うがきっちり伸びた点を確認出来ただけでも大きい。少なくとも力の衰えは感じない。走らない番のラッシュだっただけ。兎に角この馬のJBCクラシックは考慮に入れる必要がない。



6着シーキングザダイヤ横山典弘

常に勝ちを意識した騎乗だった。ただそれでもこの距離は長い印象。更に長くなる本番では買えない。



取り合えずここまで書いてみましたが、自分の想像以上にいい競馬だったのはタイムパラドックス

恐らく本番では馬柱構図から今日のように出し入れの激しい競馬になるだろうから、あのスタミナはやはり最大の武器。買うつもりは余り無かったが、この競馬を見せられると考慮に入れておかずにはおれない。



マイルチャンピオンシップ南部杯 盛岡 D1600 G1



ここは距離が本番と大分違うため、簡単に見ていきます。他にも検証したいレースがあるので。

正直JCDを考えると、あまり見るべき価値がないレ−スだったと思います。

スタート直後にパーソナルラッシュは立ち上がる感じで大出遅れ、この時点で競馬になってない(笑)

これで最後は一時タイムパラドックスに並ぶ辺り、またまた力の衰えはないと確信。

勝ち馬のユートピア、2着シーキングザダイヤ、3着タイムパラドックス、4着プリサイスマシーンまでが道中の着順がそのまま結果になった感じ。タイムパラドックスはこの距離が向かないし、ユートピアはこの距離にしては常に楽に先手が取れ、全く参考にならない。シーキングザダイヤはやはりこれ位の距離がベスト。

ここから見えてくるのは、ラッシュの力の衰えがない事を証明した事のみ。



日本TV盃 船橋 D1800 GⅡ

出走馬はサカラートアジュディミツオーの2頭。



1着サカラート秋山真一郎

着差と映像から言えば非常に強いと見るしかないのだろうが、内容はそこまで。

まずドバイ帰り初戦のアジュディミツオーを破っている事は評価に値しない。まあこれはアジュディの欄で書く。競馬自体は前4頭によって行われたかと錯覚する程、地方馬とは開きがあった。

道中からずっとナイキアディライトに被せる形で、正しくこの馬が得意とする展開。

道中のストレスもスタート後被せられた以外は特に見当たる所も無く、しかも楽にナイキに並べる流れで、こちらは何もかも上手く回った感じだった。それが最後の大楽勝に繋がったのだろうが、ここからサカラートの本質は見抜けない。というかこの内容をそのまま鵜呑みにしたら痛い目に合うと思う。

何度も言うように出し入れ激しそうな本番で、しかもあの枠ではこの時の再現を期待するのは不可能。



3着アジュディミツオー内田博幸

ドバイ帰り初戦という事もあり、手応えは芳しくなく、位置取りもあの流れとこの馬の元来のスピードを考えれば消極的。明らかに試走なのは見え見えでこの馬を買いたい人は、全くこの時の敗戦は考慮に入れなくてもいいと思う。この馬を考えるなら次走の武蔵野Sでの方がいいだろう。

取り合えずこのレースはサカラートを持ち上げる為の物だったのだろう。



ダービーGP 盛岡 D2000 G1

出走馬はカネヒキリサンライズバッカスの2頭。



1着カネヒキリ武豊

スタート後から4〜5番手で競馬をする内容。道中同位置にいたコンゴウリキシオーが一気に前に絡んで行った時に慌てず自分の走りが出来たのはこの馬のセンスを感じた。コンゴウリキシオーが一気に先手を奪った為、結果としてカネヒキリより前にいた馬には厳しい流れになった。故に着差はそこまで賛辞を送るモノではない。この馬を着差で見るのは他所に任せるとして、やはり道中の無駄のない走りがあそこまで強い要因と思う。馬が鞍上の意のままに動いてるし、本当にこういう競馬をさせたら強い。自分が買うからとか言うのじゃなく、あのキャリアならコンゴウが外から被せて一気に仕掛けた時にムキになりそうな物を良くマイペースでいられたなと感心してしまう。あれだけ鞍上の言う事を聞ければ、どの位置取りであろうと常に安定した強さを見せれると思う。時と場合によって大負けするタイプでは無い。



2着サンライズバッカス佐藤哲三

このレースを見て評価が上がった。正直当落線上にいた馬だが、やはり買いたいと思わせる。

確かにカネヒキリとは離されたが、4コーナーの位置取りがそのまま最後まで続いた感じ。

総合的にカネヒキリとの力差はあるにしろ、最後までカネヒキリと同じ脚色で来たのは評価に値する。

道中は少し力みがあった感じで、無駄は少し感じたが、あの位置取りで落ち着いて折り合った内容は競馬の幅も感じさせる。ただ本番で武蔵野Sの競馬展開をしたら苦しいかもしれない。ジョッキーの位置取りにかかっていると思う。



武蔵野S 東京 D1600 GⅢ

さて今回JBCクラシック同様、重要な意味合いを持っていそうな同レース。

南部盃同様、距離が1600という事は少し残念だが、同舞台であるし、今回の有力馬が多数出走してるし、何より古馬と若駒の比較が出来る点で意味合いは南部盃と非にならない。

ここはいま少し考えたいので、一応こういう形で残しておきたいと思う。ここの更新は今日中にしたいが、もし無理なら明日、最終決定の時に織り交ぜようと思う。